建設業法Q&A (建設工事の施工における建設業法)
※建設業法等の出張講習において質問があったものを掲載しています。順次追加していく予定です。
建設業の許可について
- カタログに掲載してある製品の納品に伴い、アンカーボルトで固定する工事を依頼されました。アンカーボルトで固定する工事費は少額ですが、建設工事の請負契約に該当しますか?
- 管工事業の許可のみ受けていて、管工事(空調設備工事)を請負い、その中で建屋(建築工事)も含まれている場合、建築工事は附帯工事として施工することは可能ですか?
- 契約金額500万円未満で、建設工事を請負いました。その際注文者から材料を支給された場合、建設業の許可が必要となりますか?
技術者制度について
- 下請で施工する建設業者(下請業者)でも3,000万円以上の下請発注をしたら監理技術者の配置が必要ですか?
- 注文者が材料を提供する場合、専任の技術者や監理技術者の配置が必要となる請負代金の額には、支給された材料の価格を加えたものとなりますか?
- 民間工事の主任技術者でも3ヶ月以上の雇用関係が必要ですか?
請負契約について
- 現場代理人は出向社員でもよいのでしょうか?
- 代理店契約は建設工事の請負契約に該当しますか?
- 共同住宅の新築工事以外の民間工事では、あらかじめ発注者の書面による承諾があれば一括下請負できるとされていますが、その場合でも技術者の配置は必要ですか?
- 下請に見積り依頼する場合、できる限り書面でということですが、Eメールによる依頼でもよいでしょうか?
- 単価契約で下請契約を締結した場合、工事が終わってみないと請負代金が確定しないので、請負代金の額を記載しないで契約書を作成してよいでしょうか?
- 施工体制台帳の作成において、民間工事では再下請負通知書に添付される契約書の写しは、請負代金を記載しなくてもよいとありますが、契約書に記載しなくてもよいということでしょうか?
- 下請工事が完成した場合の支払は請負代金の全額ではなく、まず9割を支払い、残りは工事全体が完成後支払うこととしているが、建設業法違反となりますか?
- 労務のみの常傭(常用)工事は、単価契約である場合が多いが、請負契約工事となりますか?
- 下請代金の支払いは、毎月一定の日に締切り、翌月の一定の日に支払うこととしているので、支払期日を超える場合があるが建設業法違反となりますか?
- 遅延利息の支払いをすれば下請代金の支払いを遅らせてもよいのでしょうか?
建設業の許可について
- カタログに掲載してある製品の納品に伴い、アンカーボルトで固定する工事を依頼されました。アンカーボルトで固定する工事費は少額ですが、建設工事の請負契約に該当しますか?
一般的に、工作物と一体化することなく性能を発揮する、カタログ等に掲載されて売買が行われている製品であれば、工場等において製品が完成した時点で一定の品質が確保されているものと考えられます。したがって、このような製品を運搬等の理由で便宜的に分解して納品し、現地にて行う組み立てや試運転を行うことがありますが、このような場合は、一般的に建設工事の請負契約には該当しません。ただし、納品した製品をアンカーで固定したり、製品とは別に工作物に対して分電盤の配線等を行う場合には、建設工事の請負契約に該当することになります。
- 管工事業の許可のみ受けていて、管工事(空調設備工事)を請負い、その中で建屋(建築工事)も含まれている場合、建築工事は附帯工事として施工することは可能ですか?
許可を受けた建設業に係る建設工事を請負う場合、附帯工事は、その附帯工事に係る許可がなくても請負うことができます(法第4条)。ただし、附帯工事に該当するかどうか判断する必要があります。また、建築工事を建築一式工事として下請すると、一括下請負違反になるおそれがあるので注意が必要です。
- 契約金額500万円未満で、建設工事を請負いました。その際注文者から材料を支給された場合、建設業の許可が必要となりますか?
工事1件の請負代金の額は、注文者から材料を支給された場合、その材料の価格を契約金額に加えたものとなります。工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の場合は、建設業の許可が必要となります。(令第1条の2)
技術者制度について
- 下請で施工する建設業者(下請業者)でも3,000万円以上の下請発注をしたら監理技術者の配置が必要ですか?
監理技術者は、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者、すなわち元請となった特定建設業者が発注した下請金額の合計が3,000万円(建築一式では4,500万円)以上の場合に配置することになるものであり(法第26条第2項)、下請業者の場合は、特定建設業、一般建設業に関わらず監理技術者を配置する必要はなく、主任技術者を配置すればよいことになります。また、下請業者の場合、一般建設業であっても、下位の下請業者へ発注する下請金額の合計が3,000万円以上となる請負契約を締結することができます。
- 注文者が材料を提供する場合、専任の技術者や監理技術者の配置が必要となる請負代金の額には、支給された材料の価格を加えたものとなりますか?
建設業法施行令第27条で定める建設工事で請負代金が2,500万円(建築一式工事では5,000万円)以上であるものは、現場に配置する技術者に専任が求められますが、この2,500万円は注文者が材料を提供し、工事の請負代金の額に材料の価格が含まれない場合であっても、その材料の金額を請負代金の額に加えた額で判断します。これに対して建設工事を下請負させる立場である、(発注者から直接建設工事を請け負った)特定建設業者が建設工事の下請契約を3,000万円(建築一式工事では4,500万円)以上締結する場合は監理技術者の配置が求められますが、この3,000万円に自らが提供する材料の金額は含まれません
- 民間工事の主任技術者でも3ヶ月以上の雇用関係が必要ですか?
監理技術者制度運用マニュアルにおいて、主任技術者又は監理技術者には企業との恒常的な雇用関係が必要とされています。恒常的な雇用関係とは、一定の期間にわたり当該建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事することが担保されていることに加え、監理技術者等と所属建設業者が双方の持つ技術力を熟知し、建設業者が責任を持って技術者を工事現場に設置できるとともに、建設業者が組織として有する技術力を、技術者が十分かつ円滑に活用して工事の管理等の業務を行うことができることが必要とされています。したがって一つの工事の期間のみの短期雇用等は認められていません。公共工事においては上記を満たすために、入札申込日以前に3ヶ月以上の雇用関係にあることが必要ですが、民間工事においては期間の定めはありませんので、上記の趣旨を満たすものであれば3ヶ月に満たない者であっても主任技術者となることができると考えられます。
請負契約について
- 現場代理人は出向社員でもよいのでしょうか?
建設業法では、現場代理人について第19条の2の規定により、「現場代理人を置いた場合は、当該現場代理人の権限に関する事項及び当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法を書面により通知すること」と記載されているのみであり、現場代理人の身分等に係る規定はなく、現場代理人が出向社員であっても違法ではないと考えられます。契約関係については、公共工事標準請負契約約款第10条第2項の規定では「現場代理人は、この契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを行うほか、請負代金額の変更、請負代金の請求及び受領等この契約に基づく受注者の一切の権限を行使することができる。」こととされており、請負契約の的確な履行を確保するため、請負人の代理人として置かれるものであるが、その趣旨を踏まえ、適当な職員を配置することが望ましく、仮に出向社員が配置される場合でも、出向契約により業務内容が明確に規定され、その契約内容に抵触しないものであることが必要であると考えられます。
- 代理店契約は建設工事の請負契約に該当しますか?
代理店が請負代金の回収又は請負契約の締結に関する代理権を受け、代金回収業務又は契約手続代行業務を行うのみであり、かつ、建設工事の請負自体が発注者・施工業者間での直接契約の形態であれば、当該代理店の行為は建設工事の請負契約には該当しないと思われます。ただし、発注者→代理店→施工業者といった契約形態で、発注者と施工業者の間に直接請負関係が無いものであれば、代理店は発注者から建設工事を請け負っているものと考えられ、建設業法の適用を受けることとなります。
- 共同住宅の新築工事以外の民間工事では、あらかじめ発注者の書面による承諾があれば一括下請負できるとされていますが、その場合でも技術者の配置は必要ですか?
法第22条第3項において、「前2項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。」と定めています。元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得て適用しないことが出来るのは前2項、つまり建設業法第22条および同2項で規定する「一括下請負を禁止する」ということだけです。したがって、建設業法第26条で定める、建設業者は請け負った工事には主任技術者等を置くことなどの他の規定の扱いが変わるものではなく、主任技術者等の配置は必要になります。
- 下請に見積り依頼する場合、できる限り書面でということですが、Eメールによる依頼でもよいでしょうか?
見積依頼は、建設業法上は書面でなくても違法とはなりませんが、トラブルを防ぐため書面によることを推奨しています。当事者同士の了解があればEメールでもかまわないでしょう。ただし契約書を電子情報で行う場合は、施行規則に基づいた電子情報組織(CI-NET等)を利用したものでなければなりません。
- 単価契約で下請契約を締結した場合、工事が終わってみないと請負代金が確定しないので、請負代金の額を記載しないで契約書を作成してよいでしょうか?
法第19条の規定により、建設工事の請負契約は着工前に必ず書面で行わなければなりません。記載すべき事項は14事項あり、請負代金の額も必ず記載しなければなりません。単価契約であっても予定される請負代金の総額を記載すべきと考えます。また、請負代金に変更が生じる場合は変更契約を締結しなければなりません。
- 施工体制台帳の作成において、民間工事では再下請負通知書に添付される契約書の写しは、請負代金を記載しなくてもよいとありますが、契約書に記載しなくてもよいということでしょうか?
請負代金の額は、契約書に記載しなければなりません(法第19条)。施工体制台帳作成において、下請負人が再下請負通知書に添付する契約書の写しは、公共工事以外では請負代金の額に係る部分について除いてよいとされています(施行規則第14条の2第2項)。これは契約書に請負代金の額を記載しなくてもよいのではなく、請負代金の額について記載された部分が抹消されているもので差支えないということです。
- 下請工事が完成した場合の支払は請負代金の全額ではなく、まず9割を支払い、残りは工事全体が完成後支払うこととしているが、建設業法違反となりますか?
下請代金については、元請負人と下請負人の合意により交わされた下請契約に基づいて適正に支払われなければなりません。契約に支払期日の定めがない場合は工事目的物の引渡しの申し出のあった日が支払期日となります。建設業法第24条の3で、元請負人が注文者から請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、下請負人に対して、元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならないと定められています。また、建設業法第24条の5では、元請負人が特定建設業者であり下請負人が一般建設業者(資本金額が4,000万円以上の法人であるものを除く。)である場合、発注者から工事代金の支払があるか否かにかかわらず、下請負人が引渡しの申出を行った日から起算して50日以内で、かつ、できる限り短い期間内において期日を定め下請代金を支払わなければならないと定められています。そのため、特定建設業者の下請代金の支払期限については、注文者から出来高払い又は竣工払を受けた日から1月を経過する日か、下請負人が引渡しの申出を行った日から起算して50日以内で定めた支払期日のいずれか早い期日となります。 なお、下請契約で定めた支払期日が上記規定よりも遅い場合は無効となり、上記規定が適用されます。ご質問の場合は、建設業法第24条の3及び第24条の5に違反するおそれがあります。
- 労務のみの常傭(常用)工事は、単価契約である場合が多いが、請負契約工事となりますか?
個人(労働者等)が事業者として契約する場合は、請負契約工事に該当します。この場合、請負工事にして、下請契約を結ばないと、労働者派遣法に違反し、労働局から、処分を受けるおそれがあります。労働者派遣法に「派遣した労働者を建設作業に従事させてはならない。」とあります。
- 下請代金の支払いは、毎月一定の日に締切り、翌月の一定の日に支払うこととしているので、支払期日を超える場合があるが建設業法違反となりますか?
支払期日を超えた場合、建設業法違反となります。
- 遅延利息の支払いをすれば下請代金の支払いを遅らせてもよいのでしょうか?
特定建設業者が支払期日までに支払をしなかったときの遅延利息の規定(法第24条の5第4項)は、遅延利息の支払い義務を課すことが目的ではなく、遅延利息の支払いをすれば下請代金の支払いを遅らせてもよいという趣旨ではありません。本項に違反している場合は公正取引委員会に措置要求され、正当な理由がない場合は独占禁止法に基づく措置が適用されることになります。正当な理由があると認められるのは、天災等不測の事態が発生したため、支払が遅延することが真にやむをえないと明らかに認められる理由がある場合とされています。
(参考文献)
上記Q&Aについては以下の文献等を参考にしました。
- 建設業法解説(逐条解説) 大成出版
- 建設業相談事例集 関東地方整備局
- 建設業関連法規に関する相談事例集Q&A 社団法人 高知県建設業協会
- 建設業法(技術者制度)Q&A 岡山県